コロナ禍による経済への影響やロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢の変化に伴い、
経済不況や物価高騰が起きています。
その中で「スタグフレーション」と呼ばれる経済現象の発生が懸念されています。
この記事ではスタグフレーションとは何か?
そして、要因や生活への影響、対策方法や投資戦略について解説します。
スタグフレーションとは?
スタグフレーションとは「経済停滞(スタグネーション)」と
「物価高騰(インフレーション)」を組み合わせた言葉で、
物価が上昇しているのにも関わらず経済が成長していない経済状態を表す言葉です。
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通常であれば景気が悪化すれば物が売れなくなるので、売れる値段まで物価は下落していくはずです。
しかし、景気が停滞・悪化しているのにも関わらず、物価が上昇し続ける状態があります。
これがスタグフレーションです。
景気が悪い状態なので、賃金の上昇は当然鈍いですが、
物価は上がるので、収入は増えず・収支は増えるという消費者にとって非常に厳しい状況をもたらします。
2022年7月現在、スタグフレーション発生の可能性は高い
2022年に入ってからコロナ禍によるロックダウンやウクライナへの軍事侵攻の影響で
物価が上昇するのを感じることが増えてきました。
食料品やガソリンの高騰などが最たる例ですね。
生活必需品ですので買わないという選択もできないため
値上げ価格を受け入れざるを得ないような状況です。
一方で私たちの給与はどうでしょうか?
実は賃金は平均で見ると上昇傾向を辿っており、日本経済団体連合会の調査によれば
大手企業の夏のボーナスは平均14%増といった集計結果も出ています。
しかし未だコロナ禍の前の水準には届いておらず、物価上昇にも追いついていないため
実質的な賃金は減少しているとされています。
その結果、消費者の購買力が上がらず経済は停滞していると言わざるを得ません。
過去にスタグフレーションが起こったのは1970年代のオイルショック時でした。
需要に関係なく外的な要因で原油価格の高騰が起こり、
経済を後退させました。完全に回復するに数年を要しました。
現在の経済はこのオイルショック時に似ていると指摘する専門家もおり、
スタグフレーションの発生は現実味を帯びてきているのです。
個人でできるスタグフレーション対策
スタグフレーションの原因は国家レベル、世界レベルでの出来事ですが
個人でできる対策が全く無いというわけでもありません。
何も対策を講じないでいると家計は苦しくなる一方ですので、
ここでは個人ができるスタグフレーション対策を説明します。
資産を守るために分散して保有
日本円だけでなく、米ドルなどの外貨で資産を持つことは
スタグフレーションへの対策として効果的です。
資産を日本円のみで保有していると、円安ドル高などの状況で
価値が下がってしまいます。
円とドル、両方の資産があるとどちらかの価値が下がっても
一方の価値が上がるのでリスクが分散されます。
外貨で資産を持つ方法には
外貨預金以外に外貨建ての積立保険やFXがあります。
スタグフレーション下でも強い投資対象とは?
金・銀やプラチナは不況下においても価格変動が少ないとされています。
早めにこういったものに投資しておくことは効果的でしょう。
また、不動産も価値が下落しづらい資産です。
いきなり不動産へ投資する資金がないという方でも
不動産投資信託(REIT)を活用すれば数万円からでも投資が可能です。
商品や不動産に投資する投資信託を活用するのも
スタグフレーションへの有効な対策手段となります。
株へ投資をするなら長期的な視点で
2022年7月現在、日銀は金融緩和を維持することを表明しています。
金融緩和中は一般的には株価は上昇します。
しかし、スタグフレーションのリスクがある中では
積極的な投資が減少することで株価が下落する可能性もあります。
実際、1970年代のニクソン・ショック時の米国におけるスタグフレーションでは
株価の大幅な下落が発生しています。
また、経済不況時は優良とされる銘柄でも下落する場合があります。
悪い状況と捉える方もいると思いますが、
逆に優良株・高配当株を割安で購入するチャンスと考えることもできます。
良い銘柄を仕込んでおく長期的な投資が適している時期といえます。
円安継続なら輸出産業にも注目
円安が続いており、それに伴い物価も高騰していますが
一方で輸出産業にとっては追い風となっています。
実際に輸出企業の業績は順調な見通しが広がっており、
注目するだけの価値があると考えます。
しかし、これは円安が続くことが大前提です。
日本国内に対する金融政策によって円高方向になれば
逆風となるでしょう。
複数のシナリオ、投資対象を持って準備することが大事です。
まとめ
- スタグフレーションとは、経済不況・高失業率・物価上昇の3つの組み合わせによって引き起こされる経済状況。
- 2022年現在、経済成長が冷え込む一方で物価が上昇しているため、スタグフレーション発生が懸念されている。
- 物価上昇に伴い、貨幣価値が下がるため投資などで資産を分散保有することがリスク軽減に繋がる。
依然として、世界経済の先行きは不透明です。
今後も新型コロナウィルスによるロックダウンやウクライナ侵攻などのように
海外情勢が国内経済へ大きな影響を与えることもあります。
安定した生活を維持するには広い視野を持ち、リスク分散をすることが必要です。