イーサリアム2.0に向けた大型アップデート「The Merge」が控えており、注目を集めているイーサリアム。
この記事ではイーサリアムの歴史、今後の展望を解説していきます。イーサリアムに興味がある人は是非最後まで読んでくださいね。
イーサリアムとは
イーサリアムはヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称です。
このプラットフォーム内で使用される仮想通貨をイーサ(ETH)といいます。
日本では、プラットフォームを意味するイーサリアムと通貨を意味するイーサをどちらも「イーサリアム」とする表現が普及しています。
イーサリアムの特徴
スマートコントラクト
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組みのことです。
例えば、「1年後に自分の口座にある10ETHをAに支払う」というプログラムをブロックチェーン上に記録すると、1年後に自分の口座からAさんに10ETHが自動的に支払われます。
この仕組のメリットは、取引の記録や履歴がすべて残るため、契約書をいちいち作成し、第三者に認証してもらう必要が無いということです。そのため、業務効率を格段に上げることができます。
特に、イーサリアムで利用されているスマートコントラクトは、仮想通貨の送金だけでなく、商品の売買や不動産取引などにも応用することのできる汎用性があり、様々な分野で実際の業務効率化や新たなビジネスの構築に利用されていくことが期待されています。
DApps構築のプラットフォーム
最も大きな特徴は、DApps(分散型アプリケーション)を構築するための環境を提供するプラットフォームとしての機能です。
DAppsは、銀行や政府などの中央管理者がいなくても稼働するアプリケーションの総称です。アプリを利用する参加者全員がデータを分散して管理することで、仕様変更等の意思決定に関わることができます。
これまで、DAppsは開発が難しい領域でしたが、イーサリアムの登場により容易になりました。その結果、多くの人がDAppsの開発に参入し、ブロックチェーンやそれを利用した分散管理という概念が社会に広く浸透するきっかけを与えたと言えるでしょう。
現在では、様々なアイディアを簡単にDAppsに落とし込むことができるようになり、多くのプロジェクトがイーサリアムから誕生しています。
イーサリアムの歴史
2013年11月 イーサリアム誕生
イーサリアムは2013 年、当時 19 歳のヴィタリック・ブテリン氏によって考案されました。
彼が作成したホワイトペーパーでは、イーサリアムプロジェクトの内容や技術、目的についての説明がされています。それによるとイーサリアムの目的はブロックチェーンを利用した分散型アプリケーション(DApps)の開発を容易にするプラットフォームを構築することにあるとされています。
2014年7月 ICO実施
その後2014年7月に開発資金を集めるために42日間にわたりイーサリアムとビットコインを交換する形でプレセールを行いました。その結果、約6000万枚のETHが販売され約32000BTCを集めることに成功しました。その後1年間の準備期間を経て本格的な開発がスタートします。
2015年5月 一般公開前にテスト環境へリリース
テスト環境である「Ropsten」にリリースされました。Ropstenは仮想通貨の開発が広く用いられるテストネットの一つで、この環境下ではマイニングを行うことはできず、イーサリアムの取引も開始されていませんでした。
2015年7月 フロンティアアップデート
フロンティアというアップデートにより、イーサリアムが一般公開されました。この段階では、イーサリアム上に不具合が見つかった場合にやり直しができるように開発者向けの仕様でリリースされています。
最初のブロックが生成されると、マイニングも開始されます。当時のマイニング報酬は5ETHに設定されていました。このころから既にイーサリアムのプラットフォーム上ではいくつかのプロジェクトが立ち上がり始めていました。
2016年3月 ホームステッドアップデート
フロンティアアップデートのバグ改善が実施され、契約や取引のブロックチェーンへの記録が開始し、本格的に始動しました。これにより、多くの開発者や企業がイーサリアムプロジェクトに参入しました。
このホームステッドアップデートにより、当時1ETH=500円ほどだった価値が、1ETH=1696円までに高騰しました。
2016年6月 The DAO事件
イーサリアムのプラットフォーム上で最も注目されていたのが、スマートコントラクトを利用して煩雑な手続きや監査機関なしに資産運用を行うベンチャーファンドの立ち上げを目指した「The DAO」というプロジェクトでした。しかし、The DAOの欠陥を突いて、約50億円相当のETHが盗まれるという事件が発生しました。
この事態にイーサリアムのコミュニティは被害者を救うためにハードフォークを実施し、盗まれたETHの取引記録をブロックチェーンから削除した上で被害者にETHを戻すことを提案します。反対の声を押し切る形でハードフォークは実施されましたが、被害者は救われたものの、The DAOは失敗に終わってしまいます。
このときにハードフォークの実施に反対したグループはハードフォークとして分岐する前のブロックチェーンを利用し、イーサリアムクラシックという名前でイーサリアムとは異なる仮想通貨の運営を行うことになります。
この事件により、1ETH=1000円ほどにまで急落し、イーサリアムの歴史に名を残す事件として知られることとなりました。
2017年10月 メトロポリスアップデート
メトロポリスは、2017年に行われたビザンチウム2019年に行われたコンスタンチノープルの2つのアップグレードによって構成されます。メトロポリスでは、匿名性の向上を目指して、「zk-SNARKs技術」が導入されました。
この技術は取引に用いるアドレスや送金額などプライバシーに関する情報を第三者に公開することなく、その取引の正当性を証明することのできる技術です。プライバシー保護に有効なだけでなく、外部から特定の取引を見つけて攻撃することが困難になるため、セキュリティ向上にも繋がりました。
ビザンチウムアップデートにより、1ETH=5万円ほどから1ETH=16万円まで一気に高騰しました。
また、最後のアップデートであるセレニティに向けた準備として、メトロポリスではマイニングの難易度の低下とマイニング報酬の減額が行われました。これにより、取引の承認を行うマイナーは従来よりも迅速な取引を実現することができるようになり、1ブロックあたりの生成時間が短縮されたため、結果的にイーサリアム上での処理速度が向上することになりました。
その一方で、マイニングが容易になることはマイナーが受け取る報酬額の増加とそれに伴うマイニング競争の激化をもたらしてしまいます。そのため、マイニング報酬をビザンチウムでは5ETHから3ETHに、コンスタンチノープルでは3ETHから2ETHに減額することでマイナーが受け取る報酬が大きく変化しないようにする措置が取られました。
2020年12月 セレニティアップデート着手
イーサリアム2.0への変更を目指すアップデート「セレニティ」が着手されました。セレニティは「フェーズ2」までの4つの段階に分かれており、このときに行われたのは「Beacon Chain」という「フェーズ0」にあたります。
「Beacon Chain」はブロックチェーンにステーキングを導入し、PoWからPoSへと移行する際の重要な基盤システムとなります。
2022年9月予定 The Mergeアップデート
このアップデートによってイーサリアムのコンセンサスアルゴリズムはPoWからPoSへと移行します。
また、スケーラビリティ問題や高いガス代(取引手数料)を緩和できるとされています。
これまでのアップデートではどれも直後に価格が高騰しました。The Mergeが完了した後も価格の高騰が予想できます。
今後のアップデート
ビットコインがすでに80%完成していると言われているのに対し、イーサリアムはThe Merge完了後で55%の完成度であると言われています。
今後は「The Surge」、「The Verge」、「The Purge」、「The Splurge」と大型アップデートを残しており、これらを6年ほどかけて実装していく予定になっています。
イーサリアムが100%完成すると、毎秒10万件のトランザクションが処理できるようになると言われており、ビットコインを遥かに凌ぐ性能となります。
そう遠くないうちに、イーサリアムがビットコインを抜く日が来るかもしれません。
まとめ
今後、イーサリアムのプラットフォームを利用したサービスが次々と展開されていくことが予想され、イーサリアムは非常に将来性の高い仮想通貨です。
アップデート毎に価格が高騰しているので、少しでも興味のある方は早めに保有しておいたほうがよいでしょう。
短期的に利益を狙おうとせずに、長期保有をして比較的安全に利益を狙っていくことをおすすめします。